16歳の男子。上顎左側第一大臼歯の痛みを訴えて来院した。1年前からう蝕に気づいていたが放置していたところ、1週前から咀嚼時に疼痛を感じるようになったという。初診時の口腔内写真(別冊午前No.5A)とエックス線写真(別冊午前No.5B)を別に示す。疑われるのはどれか。
1→歯根肉芽腫は根尖部の境界明瞭な円形の透過像や自発痛が認められることがあるが、本症例の所見や症状に一致しない。
2→上行性歯髄炎は歯周ポケット由来で根尖から歯髄に細菌感染することで生じる歯髄炎だが、年齢や所見から考えにくい。
3→急性化膿性歯髄炎はう蝕が進行して歯髄に感染し拍動性の自発痛や夜間痛が特徴である。本症例でみられる症状に一致しない。
4→慢性増殖性歯髄炎は、露髄した歯髄に硬固物などによる刺激が加わり、増殖した肉芽組織(歯髄ポリープ)が所見として認められる。症状としては咀嚼時痛が認められる。本症例の所見や症状に一致している。